新しい「織物」へ テキスタイル・サマースクール
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撮影 KYOTO Design Lab
KYOTO Design Lab テキスタイル・サマースクール
国内外のデザイナーやエンジニア、研究者と織物事業者が出会い、学術的な発見や新商品開発のシナリオを生み出すことを目的に企画されたプログラム「テキスタイル・サマースクール」。京都工芸繊維大学 KYOTO Design Labが主催、英国王立芸術学院、デザインアカデミー・アイントホーフェンが運営に協力し、様々な国から集まった参加者と丹後の織物職人が、言葉や経歴を超えて織物の可能性を探る1日に潜入!
7月28日。盛夏の京丹後で開催されたワークショップのタイトルは「Surface, Structure and Scenario 」。和装や洋装、インテリアといった既存のカテゴリーを超え、生糸の組成や織物の構造から新しい用途を見出す。建築、医療、宇宙開発といった様々な分野から注目されている繊維へのアプローチだ。
実施までの4日間、参加者は「京都府織物・機械金属振興センター」「民谷螺鈿」「遊絲舎」「田勇機業株式会社」「丹後織物工組合中央加工場」「安田織物株式会社」「クスカ株式会社」と数々の現場をまわった。ワークショップは京都工芸繊維大学ジュリア・カセム特任教授の挨拶と概要説明からスタート。まずは昨年実施された「インテリジェント・テキスタイル」開発の経緯や背景の紹介。そして、「アドバンスド・テキスタイル」という本の著者マリー・オマホニー氏による新素材や技術を用いたテキスタイル素材の可能性についてミニレクチャーを受けた。
https://www.youtube.com/watch?v=xKvnyl3xYjE
「今日はここから何が立ち上がるのだろう」。
そんな機運の中、各機屋が持ち寄った製品の分析が始まる。
民谷螺鈿の螺鈿や皮を織り込んだ織物。
遊絲舎の伝統的な藤布と絹と合わせた帯。
田勇機業株式会社の特殊な構造で組まれた織物。
安田織物株式会社の絡み織を使った絽や紗の生地。
クスカ株式会社の手織りと裂き織り。
5つのテーブルに別れて、特性や耐久性といった観点からオリジナルのマッピングシートに記入。機屋の話を聞きながら作業を進めるチームもあれば、織物に顔をあてて匂いをかいだり、ぎゅっと握りしめたりする参加者も。大胆なアプローチは、織物を新鮮な素材として捉えていることを感じさせた。ずらりと並ぶ織物に参加者の主観と客観も織り交ぜて、一つひとつのキャラクターが表れてくる。
昼は機屋チームとお弁当を食べながら、よもやま話。「ひらく織」メンバーの少しだけ上世代の先輩たち。話題はやっぱり織物で、「経結びは誰がやる?」「整経はどこに発注?」「あの展示会はどうだった?」など…事業者同士の交流タイムに。
午後は素材や生地の新しい可能性と方向性について、各テーブルでブレインストーミングが展開。次々と生まれるアイデアとコンセプトが模造紙やポストイットに描かれて、テーブルや壁、会場全体に広がっていく。
次第に、機屋側も触発されて経験談や織物にまつわる物語を語り出し、また新しいアイデアを引き出して。止まることのない白熱した会話をプレゼンテーションに向けて仕上げていくチームワークも素晴らしかった。ヒヤリング役、書記、プレゼンボード作成…と有機的に、そして速度をもって連携していく。それぞれの最終プレゼンテーションは、たった数時間のワークショップから生まれたと思えない完成度に。チームごとの発表、そのアイデアの原石を紹介。
民谷螺鈿
ラグジュアリーな素材であることから、アクセサリーや馬具に展開。柔らかさや通気性を生かしてハイエンドなアウトドア用品が提案された。スクラップ皮の利用やプロテクターとして部分的に皮を織り込んだ洋服などのアイデアも。
遊絲舎
藤布を特別な素材にとして建築空間に取り入れる。高級旅館のファサードや内装材、耐水性を生かして温泉やサウナルームにも使ったイメージボードを発表。その丈夫さと多用性から、サンダルやマット、ハンモックなどへの応用も。
田勇機業株式会社
強撚糸や風通組織を組み合わせた織物がもつ機能性をプロダクトデザインに発展。オリンピックに向け、調湿機能をもつヘルメットやユニフォーム、車椅子などの競技用品や、医療用素材として展開。
安田織物株式会社
人間の皮膚と生糸のアミノ酸組成が近いことを利用した医療用品のアイデア。お蚕さんのシェルターである繭を、ヒトにとってのシェルターとして日常生活や災害の避難所で使用。UV性能、防臭性、やわらかな透光性を活かして。
クスカ株式会社
裂き織りのもつ布の再利用という物語を軸に、先祖代々の歴史をつないだ織物や古着再生のシステムの考案。可塑性と伸縮性や目を近づけると向こう側が見えるという特徴を活かしたアウトドア、建材、内装材への提言。
聞いたこともないアイデアもあれば、すでに研究が始まっているアイデアもあった。参加した機屋さんからは「アイデアを出す初めての機会だった」という声が届いたという。私が個人的に可能性を感じたのは、先述したような「大胆な素材へのアプローチ」から生まれる「ユーモアあふれるプロダクト」だ。高度な技術と設計が生み出す織物、その可能性にも期待する。しかしながら、生まれた時から肌身離さず触れている織物が、「日常の一線を軽やかに乗り越えていく」何かに変身する瞬間を見たいと思った。
今回のワークショップが新しいプロダクトに結実するのか、参加者にとって何かのキッカケとなり得るのか、まだ分からない。夏空まぶしい1日が、実りの季節を迎えられますように。次年度の開催については、KYOTO Design Labウェブサイトに注目してほしい。
KYOTO Design Lab テキスタイル・サマースクール 京丹後編
KYOTO Design Lab テキスタイル・サマースクール KIT編
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